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こころの病気とは?

主なこころの病気の病名・症状等をご説明します。

うつ病

さまざまな精神的や身体的ストレスにより、脳の機能不全がおこり、気分の落ち込み、意欲の低下、悲観的な考え方等が極端になり、これらが長く続く病態です。 発症率は女性が2倍多く、一生の内で1度は罹る割合は男性が10%、女性が25%と言われています。

症状

以下の2項目が終日、1ヶ月以上続くと約88%の方にうつ病の可能性があります。

  • ほぼ1日中続く気分の、ゆううつな気分や沈んだ気持ち
  • ほぼ1日中続く仕事、趣味などに対する興味関心の低下

他にも、以下のような症状が連日認められます。

  • 食欲減退、または増加。体重減少、または増加(1か月5%以上)
  • 寝つきが悪い、真夜中や早朝に目が覚める、寝すぎる
  • 会話や作業のペースが鈍く、イライラしやすい
  • 疲れやすく、気力がでない
  • 自分に価値がないと感じたり、罪の意識を感じる
  • 集中力、決断力が低下する
  • 生きていたくないと思う

原因

ストレス等により、脳内の神経伝達物質であるセロトニンとノルアドレナリンの働きが低下することで感情がうまくコントロールできなくなる病気です。

治療

抗うつ薬を主体とした薬物療法でセロトニンとノルアドレナリンのバランスを改善します。認知行動療法などの精神療法も有効です。

統合失調症

原因不明ですが幻覚や妄想、意欲の低下などの、様々な精神病症状を呈し、思考、学習、対人関係などに持続的な症状を起こす病気です。発症率は1%で男女差はありません。15~35歳に発症しやすいといわれています。

症状

大きく陽性症状と陰性症状の2つに分けられます。

陽性症状

話の脈絡がなく、話の内容が分からない。重症化すると文章が作れず、意味のない単語の羅列しかできなくなる。

妄想
:とてもあり得ない事に確信をもち、周囲が説明しても耳を貸さない状態。

(例)

被害妄想
:他人が自分を害しようとする。
関係妄想
:周囲の出来事を全て自分に関係付ける。
注察妄想
:周囲に監視される、見られていると思う。
幻覚
:実在しない知覚情報を、本物と思い込む。幻聴、幻視、幻臭、幻味、体感幻覚などがあり、幻聴がおこりやすい。気分が不安定になる。会話や行動が尋常ではなくなる。

陰性症状

社会的引きこもり、意欲の低下、会話の貧困さ、興味・注意力の低下、無関心等

原因

脳内の神経伝達物質であるドーパミンのバランス異常と言われています。

治療

主にドーパミンのバランスを調整する抗精神病薬を主体とした薬物療法を用います。
精神療法、リハビリ療法も有効です。

認知症

脳神経細胞に病的な変化が生じた事で、記憶(過去に蓄積された経験や知識)や知能(思考力、理解力、判断力、計算力等の高次な精神機能)が障害される病気であり、自然の老化とは違います。 大きくは、動脈硬化や高血圧により脳出血や脳梗塞が起き、 脳血管が少しづつ詰まっていく事で起こる「脳血管性認知症」と神経細胞にアミロイド物質が沈着する事で脳細胞が壊れていく「アルツハイマー型認知症」に分けられます。

症状

中核症状と周辺症状に分かれます。

中核症状

記憶障害
:記銘力(覚える)と記想(覚えた事を保持する)の障害
認知障害
:学習能力、問題解決能力、適応能力、判断能力、創造力、思考能力等の障害
人格障害
:怒りっぽい、子供っぽい、性的逸脱行為等

周辺症状

精神症状
:妄想、幻覚、うつ症状
行動異常
:暴言、暴力、興奮、盗食、異食(食べ物ではない物を食べる)、放尿、放便等、せん妄(※注)、徘徊

睡眠障害

※注

軽い意識の混濁に加えて、幻覚(存在しないものが見えたり聞こえたりする事)や錯覚(存在しているものを見間違えたり、聞き違えたりする事)、妄想、興奮などが起こる状態

原因

脳神経細胞が、栄養を送る脳血管が詰まる事やアミロイド物質の沈着により壊れるために起こります。

治療

脳神経細胞が壊れる事で減少するアセチルコリンを増やす薬物療法が主体です。リハビリも有効です。

社会不安障害

大勢の前でスピーチや発表をする等の注目を浴びる状況に対して、顕著で持続的な恐怖心を抱き、恥をかいたり、恥ずかしい思いをするように行動する事を恐れる病気です。 15~25歳が好発年齢ですが、受診するのは40歳代が多く見られます。

症状

人前で食事する、話す、文字を書く、権威者の相手をする等の状況で赤面、動悸、発汗、下痢、声や体の震え、胃腸の不快感等がおきます。

原因

脳内のセロトニンのバランスの乱れによるとされています。

治療

セロトニンのバランスを調整する抗うつ薬を主体とした薬物療法と精神療法が有効です。

強迫性障害

手が汚れているような気がして何度も手を洗う、ガスの元栓を閉め忘れたのではと思い何度も確認する等、「自分自身でも、それが不合理な事だと思いながら、繰り返し不要な考えが生じ(強迫観念)、 それを打ち消すために過剰な行動を起こす(強迫行為)」病気です。

症状

強迫観念と強迫行為に分かれます。

強迫観念

自分では不合理と認識しているが、繰り返し生じる不要な考え

(例)

  • 鍵の掛け忘れやトイレの後の手の汚染が不安になる
  • 本棚が常に50音順で並んでいないと気になる
  • 敷居をまたぐ時に、決まった足から踏み出さないと気になる

強迫行為

強迫観念を打ち消すための行動や心の中の行為。苦痛を回避するためだが、明らかに過剰な行為

(例)

  • 鍵が気になり外出できない
  • 手の汚染が気になり、何度も手を洗う
  • 物が左右対称で並んでいないと気になり、何度も整頓する
  • きまった足取りで歩かないと気が進まず、何度もやり直し、自然に歩けない

原因

脳内のセロトニンのバランスの乱れによるといわれています。

治療

セロトニンのバランスを調整する抗うつ薬を主体とした薬物療法と精神療法が主体です。

パニック障害

特に誘因がないのに、動悸、発汗、ほてり、身震い、息苦しさ、嘔気、めまい等が繰り返し起こり、その事について、いつも心配してしまう病気です。 20歳代に多く、男女差はありません。一生の内で1度は罹る確率は1.5~4%といわれています。

症状

  • 動悸、心拍数の増加
  • 発汗
  • 身震いまたは震え
  • 窒息感
  • 胸痛または胸の不快感
  • 嘔気または胃腸の不快感
  • めまい感、ふらつき感
  • 現実感がなくなる
  • 死に対する恐怖
  • 感覚の麻痺
  • 冷える、ほてる

原因

脳内のセロトニンのバランスの乱れによるといわれています。

治療

セロトニンのバランスを調整する抗うつ薬主体の薬物療法と精神療法が主です。